蛇ヶ淵の雨乞い伝説

昔、長瀬村の農家に美しい娘がいました。何十年ぶりかの日照りが続くある年の夏、娘は雨を降らすために毎夜のごとく蛇ヶ淵へ出かけ、竜王の滝にうたれ願をかけました。竜になって天に上り、雨を降らそうというのです。しかし、その満願の日に、願をかけている姿を父に見られてしまい、娘は蛇身となってさめざめと泣きながら大池の中へ姿を消しました。

その数日後、猟師が鉄砲を肩に狩りに出かけ、大池のほとりを通りかかると池の中から大蛇が姿を現しました。大蛇は、「私は雨を降らすため願をかけ、竜になって天に上ろうとしましたが、父に姿を見られ、蛇にはなれても竜にはなれないでいます。このままでは村にも帰れません。いっそのこと撃ち殺して下さい。」と頼みました。猟師はかわいそうに思い、しかたなく鉄砲で撃ちましたがタマははねかえるばかり。竜にまでなろうとした蛇にはナマリのタマは通らないのだろうと、その場は家に帰り、京の鍛冶屋に頼んで金のタマを作ってもらい、再び大池に来て大蛇の頭を撃ちぬきました。すると、とたんに大音響とともに空にイナズマが走り、大雨が降り始めたそうな……。